アブダクション(abduction)

アブダクションとは,アメリカの哲学者・論理学者のチャールズ・パースが推論過程の一つとして再定義した言葉で,何か予想外のことが起こったときに新しい仮説を設定する過程をさす.

一般的な法則から個々の事例を論証する「演繹(deduction)」や個々の事例から一般的な法則を探る「帰納(induction)」に先立つ,重要なプロセスとして位置づけた[註1].

もう少し簡単言えば,アブダクションとは,結果から原因を推測する推論であり,観測事実に対する 説明を見つけるという推論のことである.

もっと分かりやすく言うなら,なにか新しいデザインができたとき,どんな感性が働き,どんな想像力へと変化したのか,いったい何が起こってこの新しいデザインはできたのか推論することである.その推論ができれば,感性の働きや想像力への変化のプロセスが明らかにできるということであり,新しいデザインができること,つまりデザイナーが生み出す創造的な思考プロセスを明らかにできるわけである.

[1]原島 弘,井口征士:「感性情報学」,工作舎,p207,2004